落ち着が出る、空気がきれいになるなど家の中やベランダなどで小さな鉢植えの植物を育てる方は多いと思います。特に最近は観葉植物など丈夫な品種は100円均一でも手軽に買えるようになり、ますます身近にグリーンが楽しめるようになりました。
でも、置いている植物、ひょっとしてこんな風になっていませんか?
- 知らぬ間に水枯れして葉が落ちてしまった
- 土どころか植物自体がカリカリに乾燥して枯れてしまった
- 鉢皿からコバエがわいてきた
- 水のやりすぎで土の上がカルシウムで真っ白になってきた
- 土の表面にカビが生えてきた
などなど。「向いていないのかな?」とあきらめてしまう前にいい方法があるのです。
それが「底面給水」です。
底面給水とは
底面給水とは、通常土の上からやる水を底皿に入れ、自然に水を吸い上げさせる栽培方法のことを言います。やり方は特に難しくありません。
底面給水の方法
用意するのは鉢よりも一回り大きくて少し深めの底皿だけです。
そして水やりは土の表面ではなく底皿にたっぷりというのが基本です。
鉢の底から布を垂らして・・・というようなやり方がよく紹介されていますが、紹介する少々荒っぽいやり方でも充分に底面給水の環境を実現できます。
これでは水が上に行かないのでは??と思う方、毛細管現象の凄さを味わってみてください。何日か続けていると土の上の方まで湿ってきて、ちゃんと給水出来ていることが確認できます。
底面給水化する場合のコツ
底面給水で栽培する際、または通常の方法から底面給水に切り替える際のポイントをいくつか紹介します
鉢底の土は外してネットにする
鉢の底に玉石(軽石など)が敷いてあると、肝心の土が水に浸らないのでこの「毛細管現象」も使えずただ水が腐っていくだけになってしまうので、鉢底の土を使わずに鉢底ネットを使って直接土を入れるようにします
最初から水をたくさんあげないようにする
特に「表土が乾燥したらたっぷり・・・」などという栽培方法が推奨されている植物で、そのセオリー通りに管理している場合、一気に底面給水にすることで水分が多すぎ、根腐れなどを起こすことがあります。少しずつ慣らすためにも最初から水をたくさん与えず様子を見ながら切り替えるようにしましょう。ちょっとした工夫ですが、土が乾燥したかどうかを判断するため鉢の表面にうっすらと鹿沼土を入れておくと色で判断できるようになります。
肥料は底皿に施す
肥料は水に少しずつ溶けて作用していくわけですから、土に埋めるよりも受け皿の中に補充するようにした方が効果的です。
一旦浅目の鉢にする
通常栽培から底面給水にした場合、植物はまだ底から水を給水するための根が張っていません。逆に上からの水を吸収するために浅目な場所により密に根が張っているはずです。その状態で一気に底面給水化してしまうと土の中に含まれる水だけでは不十分になり、枯れてしまうことがあります。特に下草に使うような背丈の短い植物は一度浅い鉢に植え替えて底面給水に慣らしてから本来の鉢へ再度植え替えることでダメージを最小限にすることができます。
底面給水への移行が終わればあとは水が減ったら継ぎ足しを繰り返すだけ、大体の植物は根から吸いたいだけの水を取り入れていくので、私の経験上失敗はありません。
が、1つだけ注意点というか見栄えの問題があるとすれば、白っぽい鉢や大き目の受け皿を使うとそこに緑の苔が生えたりするので目立って来たら洗うようにしましょう。
それから、当然のことながら、底面給水をすると思わぬ効果もあります。
それは、鉢底にはびこる害虫やコバエが出てこないということ。夏場になるとどうしてもコバエが発生して困りますよね。実はこのコバエは鉢の底で湧くことが多いんです。適度に腐敗した環境ですからコバエにとっては居心地がいいんでしょう。底面給水にすればこの問題は解消されますヨ。
また、普段から底面給水にしておけば、旅行や出張などで何日か外出してしまう場合でも枯らすことなく管理することができます。
ベランダの家庭菜園などもこの方法にしておけば、旅行に行って帰ってきたら全滅・・・も避けることが出来ます。
無駄にコストをかけなくても済む一工夫
「よし、底面給水にするゾ!」と園芸店やホームセンターに底皿を買いに走る前に、コストをかけずに身近なもので底面給水化しましょう。
使うのは・・・
肉や魚が入っていた食品トレー
です。大きな鉢では無理ですが、小さな鉢であれば食品トレーに収まるものが多いと思います。それに深さもある程度ありますからこれを使わない手はありません。
また、食品トレーを使うことで丸い鉢に対して四角い底皿とななるので水の補充がしやすくなります。食品トレーであればコケが生えてしまっても交換すればコストもかかりませんから大変便利です。
使うときは中性洗剤などで余分な脂や汚れを落とすようにしましょう。