今回のリオオリンピックで個人銅メダルをとり、団体銀メダルにすごく貢献した水谷隼選手。今はやっていませんが、卓球をやっていた私の目から見て以前のスタイルとここが変わった!!という部分を私なりに分析してみました。同じような戦型の方の参考になればと思います。
直前にあった2016年の世界卓球(世界選手権)での水谷選手は「あれ?」と思うほどらしくないプレーが続いていたのですが、恐らくオリンピックに向けての最終調整だったのだろうと個人的には思っています。
水谷選手が高校生のときに全日本選手権で連覇していた中国帰化選手に対して簡単に勝ったのが私の中では印象深いのですが、その時から今回の世界選手権までの水谷選手に共通していたのは
- 粘り合いなら負けない
- サーブ力なら負けない
という印象。本当に上手で、相手は恐らく攻めているのに点にならず自滅していくというパターンが多く、水谷選手もそういう卓球をしていたのだと思います。でも、これでは1発目の攻撃が強い中国選手には勝てないということで今回の改造があったのだと思います。
水谷選手が今回のオリンピックで大化けした要素
- 前で前でという意識が強くなった
- サーブに頼らなくなった
- 左利き特有の「バックストレート」ブロックを使うようになった
- 相手が打つために送って来た予備ボールを自分の予備ボールにできる技術
準決勝の許昕(キョキン)選手との試合で解説者が「全く別人になりましたね」と言っていた通り、今回の水谷選手はまるで丹羽孝希選手?と思える位前でプレーすることに徹していました。以前ならすっと下がってつなぎボールを入れながらミス待ちかあまり確率の高くない逆襲をしていたのですが、今回は打たれたボールをより強く前で返そうという決心というか決意が感じられました。世界卓球ではこれがあまりうまくいかずにミスが続いて元のプレーに戻したり、前でプレーしたりという迷いがあったように見えたので、そこからより磨き上げたのだと思います。
前はサーブで圧倒的に有利に・・・と考えていたことがテレビのインタービューなどではされていましたが、今回は「相手に不利になる」サーブに徹していましたね。どの試合も特に終盤のサーブは全く工夫のない(言い方が悪いですが)ナックルサーブ主体で相手が「どうしよう・・・」と考えてしまう回転と長さ。台からちょっと出ても低いナックルは強く打球すれば不安定になるのでどうしてもつなぐ=水谷選手の3球目攻撃のチャンスが増えるという構図になっていました。
以前は右利き選手のフォアサイドで左利きの選手のバックサイド(水谷選手から見ればバッククロス)へ一旦ボールを送って詰まったところを攻撃というパターンが多かったのですが、今大会では左利きの選手に対していきなりのバックストレートが目立ちました。ストレートは距離が短いですし、普段右利きと練習しているとクロスが多くなるのですが、これで相手のペースが乱れたのは間違いないと思います。
一番すごいと思ったのはこの技術でした。要するに浅くて低いループドライブの対処です。普通だとこの手のループは当てて返した挙句相手のチャンスボールとなる機会が多いのですが、水谷選手はこれを同じ浅くて低いループドライブで返す場面が多かったですね。思わず中継みながら「うまい!!」と連発してしまいました。相手の回転や台との距離がつかめないとできないのですごいなぁと思います。
以上至って私的ではありますが、水谷選手の今大会の強さについて書かせていただきました。