当然のことながら肥料に含まれる養分は普段の水やりや植物の吸収によって失われていきます。肥料が最初から入っている培養土を使ったとしてもそのうち肥料成分(懐かしい言い方すれば養分)は無くなっていってしまいます。養分が足りなければ人間が栄養失調になったのと同じで調子を崩し、ちょっとした病害虫や病原体の侵入などに対しても抵抗できずに枯れてしまうことにもなります。
肥料の要素と期待できる効果
植物が育つためにはたくさんの栄養(養分)が必要です。とはいえすべてをバランスよくという訳にはいかないですから、最低限一般的に販売されている3大栄養素は覚えておくようにしましょう。
成長そのものに効果がある「窒素」
通称【葉肥え】と呼ばれ、茎や葉など見える部分を元気にする効果がある栄養成分です。
花や実に効果がある「リン酸」
通称【実肥え】と呼ばれ、花のつきをよくしたり、実を大きく育てるのに効果がある栄養成分です。
根の張りをよくして丈夫にする「カリ(カリウム)」
通称【根肥え】と呼ばれ、根の張りをよくする効果のある栄養成分です。
その他の栄養素を含めておおよそ17種類が植物の生長に必要な栄養素と言われています。中でもこれらの3大栄養素は目で見て効果の分かりやすい栄養成分ですから園芸用品の肥料コーナーにある商品ではこの3つが大きく書かれているものが多いのです。
肥料のパッケージに書かれている数字の意味
液体肥料でも固形肥料でも「10-10-10」とか「12-10-8」なんて謎の数字が書かれていますよね?これを気にして肥料を買っていたり使っていたりする人は意外と少ないと思われます。
でも、きちんと知った上で使えば
- 特定の肥料成分が過多になることで起きる肥料焼けを防ぐ
- 適切な肥料を与えることで意図通りの効果を得る
ことができるので、植物が元気になるだけでなく、目的を持って植物の管理をすることができるようになります。
そこで先程の要素と共に知っておきたいのが配合量です。
「10-8-5」という数字を例に挙げると
- 「10」は肥料の中に含まれる窒素の割合(全体の10%が窒素という意味)
- 「8」は肥料の中に含まれるリン酸の割合(全体の8%がリン酸という意味)
- 「5」は肥料の中に含まれるカリウムの割合(全体の5%がカリウムという意味)
になります。つまり、これらの数字を合計した数字(10+8+5=23%)しかその肥料の中には有効成分が含まれていないということも意味します。この例では残りの77%は水や安定化剤、その他の養分ということになります。
ホームセンターなどで成分の含有量を見ながら同時に価格を確認してみてください。特定の効果に特化したものや含有率の高いものほど価格は高めになっていると思います。
肥料の種類と使い分け、コストパフォーマンス
肥料の種類は大きく分けると3種類あります。
固形肥料・天然の肥料
固形や粒状の肥料は少しずつ長く効かせるのに効果大の肥料です。緩効性肥料とも呼ばれるだけあって即効性がないものが多く、土の上へばらまくと水を吸ってカビが繁殖してしまったり、あまりにも根の近くに埋めると根腐れなどを起こすことがあるので注意が必要です。
天然の養分を含んだ肥料は主に直播や庭での使用に向いています。
液体肥料(濃縮タイプ)
「ハイポネックス」という銘柄で販売されているのが有名ですね。白っぽいボトルに「濃縮」と書かれているので非濃縮の液体肥料と区別できます。
原液を水に混ぜて通常の水やりのように与えるタイプの肥料で濃度の調整ができるので便利です。
ただし、肥料の効果はあまり持続しませんので週に1回、10日に1回など定期的に与える必要があります。
液体肥料(非濃縮タイプ・アンプルタイプ)
そのまま与えるだけの液体肥料や土に挿すタイプのアンプル型肥料などがあります。
薄めたりする必要がないので手軽に使えますが、肥料成分の割合が少ないものがたくさん販売されていますから効果は個人的にはイマイチという感じです。
アンプルタイプを使ったときになかなか肥料が減らないというときは一度土の中の水分を増やし、アンプルを挿してから少し絞り出すようにするときちんと肥料が落ちるようになります。
計算すれば一目瞭然な話ですが、同じ液体を使うなら断然濃縮タイプの方がお得です。