毎年冬場になるとよくニュースに出てくる「ノロウイルス感染症」。しかし、最近では変異したものが続々と登場し、しかも真夏などでも感染してしまう可能性がある恐いウイルスです。
風邪と同じくウイルスが起因する「ノロウイルス感染症」に対して知識をつけて、感染しないようにしましょう。
ノロウイルスとは
ノロウイルスは、昭和43年(1968年)に米国のオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便からウイルスが検出され、発見された土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれました。ウイルスの遺伝子が詳しく調べられ、平成14年(2002年)8月、国際ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名されました。
ノロウイルスには多くの遺伝子の型があることなどの理由で特に食品中に含まれるウイルスを検出することが難しく、食中毒の原因究明や感染経路の特定が難しいウイルスです。
ノロウイルスにかかったら(症状)
腹痛・下痢・嘔吐というのがノロウイルス感染症の症状として代表的なものです。高熱を引き起こすことはあまりなく、主に食中毒症状が1~3日続き治癒していきます。
ノロウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は24~48時間と短く感染後すぐに症状が現れるのが特徴です。
発症した後に排出される吐しゃ物や便などの中にはたくさんのノロウイルスが含まれているため、これらに触れることで感染が広がっていきます。

ノロウイルスの治療
残念ながらノロウイルスに対する特効薬はありませんので、感染・発症後は経過を見ながら対処療法という形になりますが、抵抗力や体力の少ない子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスに感染しないようにするには
このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染です。
1.ノロウイルスを発症した患者が大量に含まれるふん便や吐しゃ物から人の手などを介して感染する
2.家庭内や共同生活施設、共用施設など人同士の接触する機会が多いところで飛沫感染する
3.食品を扱う工場や店舗など(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を行う者などが含まれます。)で感染した患者が汚染させた食品を食べて感染する
4.汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べて感染する
5.ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で飲むことにより感染する
特に発端として多いのは飲食店や家庭で汚染された食料を加熱せずに食べてしまうことからが多いようです。そして家族の中で1人感染すると当然世話をする人に感染のリスクが高まり、次々に感染していくのです。
家庭でできるノロウイルス対策
ウイルスは栄養分や水分などの宿主で生息して分裂して増えていきますので、そういった要素を出来る限り排除して感染の可能性を減らすことが大事です。
1.手をよく洗う
2.生のものが触れ、生のまま口に入るような食品や食器類は念入りに洗ってしっかり乾燥させる(汚れのあるところは乾きにくく、ウイルスの栄養分となるものが付着しているため)
3.できるだけしっかり加熱した食品を摂るようにする
4.できるなら食器類や特にまな板・包丁などは煮沸消毒する(お湯をかけるだけでは意味がありません)
5.生ものを調理するときは最初に調理しておく
6.人の多い場所に行くときはマスクを着用する
7.感染者の世話をする場合には吐しゃ物などをふき取ったものや衣服はなるべく処分する(洗ってもウイルスがすべて流れるとは限らないため)
8.下痢をした場合にはトイレのふたをしてから流すようにする(床などにウイルスの含まれた水が飛散するのを防ぐ)
など、出来る限りウイルスを取り込まない、感染させない工夫が必要です

