WordPressというブログでない?ツールの存在を知って使い始めた方が最初に戸惑うのがテーマの選定。
管理画面の「外観」をクリックすると実にたくさんのテーマがあり、それらは【公式テーマ】などと呼ばれています。
また、それとは別に「WordPress theme」「WordPress テーマ」などと検索すると、実にいろいろな数のテーマの存在を知り、有料のものもあることや、一部の機能が有料のものなどいろいろなテーマに出会い、迷うことになります。
まあ、WordPressでブログやホームページ作りを始めたばかりの方は右も左もわからないのですから、インストールした時に有効になっているテーマ(これを【デフォルトテーマ】と呼びます)や、【公式テーマ】の中から「これはよさそう..」というものを選んでみる、または、ネット検索したテーマの評判などをひたすら調べて購入ボタンをポチっと..という方もいらっしゃるでしょう。
私は10年近く、このサイトも含め、作ったり壊したりを繰り返しながらWordPressというツールのお世話になってきましたが、未だに有料のものを使ったことはありませんし、ページタイトルにもしたように、現在私が管理する自身のWordPressサイトは、すべて私自身で作成したテーマを使用しています。
今回はそんな私の経験を踏まえ、どうして自作のテーマしか使わないのか?について、お伝えしようと思います。
本記事はどのテーマがいいだの悪いだのを語るものではなく、また、このサイトでも使用している自作テーマ【HABONE】の配布を促進する目的のものでもなく、テーマ選びのヒントを提供するものでもありませんので悪しからず。
私が自身の管理するサイトで必ず自作テーマを使う理由
1.開発や対応が停止されてしまう可能性がある
しごく当然の話でありますが、【公式テーマ】や、どこかで検索してたどり着いたテーマにはそれぞれ作者(開発者)や開発企業が存在します。
そして、こちらも当然ながら、WordPressのテーマはWordPressというツール上で運用や表示を行うための部品です。
更に、WordPressというツール自体も数々の有志プログラマーまたは、wordpress.comというサービスを提供するAutomatticという会社の方によって、不具合の解消や新たな機能の追加などが行われています。
WordPressのバージョン変遷について(公式ページへのリンクです)
さらにさらに、WordPressというツールが動作しているサーバー環境も変更・更新されていっています。
...という位、テーマはいろいろな変化があるプラットフォームの上にある、とても不安定な立場にあり、それぞれの変化や更新に応じて、テーマとして正常に役割を果たせるよう更新していく必要があります。
しかしながら、前述したようにテーマには作者が存在するわけですから、作者が何かの都合で開発を続けられなくなった場合や、更新に対応できずに開発を中止(放棄)してしまった場合には、不具合などが発生しても自身での対処が必要となり、他のテーマへの切り替えなどをしなければならないというリスクがあります。
2.仕様が大きく変わっても基本的に何も言えない
仕様変更とは主に以下のような事柄を言います
- テーマの機能として使えていたものが廃止される
- テーマの機能として使えていたものに大きな変更が加わる
- テーマの開発者が変更になる
- テーマの一部または全部の機能が有料化される
- テーマを使い続けるために何等かの支払いが必要となる
これがもたらす影響は、1や2であれば、それによって不都合や不具合の出たコンテンツ(投稿や固定ページ)はすべて修正する必要がありますし、4や5では機能を使い続けるために何かを購入したり契約するか、テーマを変更して、不都合や不具合の出たコンテンツをすべて修正する必要が出てきます。
大きな仕様変更が起こる契機としては3のケースが多いでしょう。
ただ、有料テーマにせよ、無料テーマにせよ、常にこのリスクがあり、また、「そうなった」と言われれば、結局は従わざるを得ないということになります。
3.離脱(別のテーマへの変更)が面倒
有料テーマには、大きく以下のような形態があると考えられます。
- 無料版をWordPress公式サイトで配布し、アドオンとして有料機能を追加する
- 無料版をWordPress公式サイトで配布し、有料版ではあるものの、全く別のテーマを販売する
- WordPress公式サイトでの配布は行わず、独自のサイトで販売する
- WordPress公式サイトでの配布は行わず、同じベーステーマで別のデザインや機能を持つものを個々に販売する
- WordPress公式サイトでの配布は行わず、基本的な機能を持つテーマを販売し、かつ、追加機能については別途プラグインを販売する
- 「買い取り方式」と「サブスクリプション方式」のいずれかで販売する
この中でWordPress公式サイトで配布しているものについては、公式へ登録する際の決まり事として「プラグインとして追加すべき機能を実装していない」原則があるので、それをベースにプラグインなどを別途追加する方式であれば、テーマを変更しても基本的にそのまま引き継げる可能性が高いです。
中には追加プラグインがそのテーマでしか動かないようになっているものもあるので注意が必要
それ以外については、カスタムフィールドやデータベースへ追加したテーブルなどへ書き込んだデータを流用したりして機能をプラスするケースや、独自ショートコードや独自ブロックを追加しているものが多く、テーマ変更の際には「デザイン要素」を調べて移行したり、ブロックやショートコードを構成するプログラムを移行しないと動作しないものなどがあります。
そうなると、いざテーマを変えようとなったときに、面倒な作業というよりは、ある程度のPHPやJS、CSSの知識がないと移行できないことから、変更前のテーマ独自の機能を使っている投稿や固定ページをすべて見直す必要が出てきます。
よしんば知識があったとしても、結構複雑な構造になっているテーマが多いので、データの参照元やプログラム自体の参照元を調べるだけでも、本当に大変な思いをします。
最近ではブロックエディタへの転換により、独自ブロックをウリにする有料テーマが増えてきましたし、ブロックエディタ自体もまだまだ仕様変更を繰り返している段階ですから、機能を移行して使い続けるにも大変な思いをする可能性があります。
大きくは、以上3つが、私が自身の管理するサイトで自作テーマを使う理由です。
私は、WordPressに10年以上お世話になっていますが、有料テーマを使ったことはありません。
理由は前述した通りであり、あえて自作テーマを使うことで、必要な機能は自身で調べて実装すればいいというレベルまで来たのが大きいと思います。
最初はただ表示させる(WordPressで動くようにする)というところまでしかできないかも知れませんが、今ではWordPressに関するたくさんの情報をインターネット上で探すことができるのですから、自身で責任を持って終生管理できるテーマづくりをしてみてはいかがでしょうか?
最後に、冒頭でも書きましたが、本記事は決して有料テーマについていいだの悪いだのを述べたものではありません。有料テーマを開発される方は、誰が使っても正常に動作することが大前提で、販売をされており、千差万別な環境から発生する不具合について検証、対応を繰り返されています。
その対応には相当な時間を要しますし、1件1件、使われている環境を伺うことから始まり、その環境で不具合がないことを確認し、他の環境でも問題ないかを確認し..を永遠に繰り返す訳ですから、本当に大変だと思います。
逆を言えば、作り手(自作テーマにある程度の機能を盛り込むことができる)になってから、有料テーマを使ってみるという領域に達すれば、もっと開発者にもメリットが生まれWin Winの関係になれるのではないでしょうか?