2020年5月末あたりに発生した、メール送受信時にSylpheedのSSL証明書の確認画面が出る不具合。今まで大変重宝していたメールソフトなので使い続けたいという想いはあるのですが、
で書いている通り、非SSLでの通信に切り替えれば送受信はできるものの、長年更新されていないソフトであることから、ウェブブラウザ「Firefox」で知られているMozillaの「Thunderbird」へ切り替えることにしました。
そこで私と同じように「Sylpheed」から「Thunderbird」への切り替えを行おうと思っている方向けに初期設定と移行方法を紹介します。自身まだ使い始めではありますが、「Thunderbird」の印象としては多少「Sylpheed」とは勝手が違いますし(ソフトが違うのですから当然か・・)、複数のメールを削除する時にはちょっと時間がかかるかな?と感じますが、使用に際しては特に支障はありませんし、スケジュール機能なども使えるようなので逆に便利かも・・と思います。
「Sylpheed」から「Thunderbird」への移行手順(概要)
「Sylpheed」から「Thunderbird」の大まかな移行手順は以下の通りとなります。細かい手順は後述します。
- 「Thunderbird」のインストール
- ImportExportTools NGアドオンのインストール(メールデータのインポート用)
- 「Sylpheed」をオフラインにする
- 「Thunderbird」へメールアカウント追加
- 「Sylpheed」からメールデータをエクスポート
- 「Thunderbird」へメールデータをインポート
- 「Sylpheed」のメールアカウントを削除
ざっくりとこんな流れになります。複数のメールアドレスがある場合には、3~8を繰り返します。
今回アドレス帳のエクスポート・インポートは行っておりませんので簡易的な説明になります
3~7が終わるまでの間「Sylpheed」側をオフライン(送受信停止)にしておかないと、「Sylpheed」「Thunderbird」両方で自動受信してしまい、メールの重複受信が発生しますからご注意ください
「Thunderbird」の入手とインストール、インポートアドオンの追加
インストール自体はソフトを入手して、入手したプログラムをダブルクリックして・・という通常のソフトウェアの手順と変わりません。後でいろいろな設定は変更・追加できますから、インストール後にアカウントの設定を促したり、通常使うメーラーにするかを聞かれますのですべてスキップしておけばいいでしょう。
「Thunderbird」はこちらから入手できます(無料のメールソフトです)
「Thunderbird」標準のインポート機能では、特定のメールソフトからのインポートしかサポートされていませんので、インストールが終わったら、ImportExportTools NGアドオンをインストールして「Sylpheed」からのデータをインポートできるようにします。
「Thunderbird」を起動した画面の右上あたりにある「三」マークをクリックして、「アドオン」をクリックします。
次の画面にも「アドオン」という項目が出てくるので再度クリックします
下図のような画面になりますので、すべての「アドオンを見る」をクリックします。
左のメニューから「インポートエクスポート」をクリックすると、ImportExportTools NGというのがありますので、マウスオーバーして表示される緑色の「Thunderbirdへ追加」をクリックします。
しばらく待つとインストールが完了します。
これで移行の前準備は完了です。
「Sylpheed」から「Thunderbird」への移行手順(詳細)
ここからは前準備が終わった後の詳細な移行手順を紹介していきます。前述しましたが、重複受信を避けるため、1つのメールアカウントに対して以下の作業を一気に行うようにしてください。
手順自体はこの流れでなくても構いませんが、送受信を停止するために「Sylpheed」側のアカウント情報を先に削除して、もしも設定情報(特にパスワード)が誤って「Thunderbird」側で送受信ができなくなってしまった場合にはどちらのソフトでも受信できない事態が発生しますから、個人的には以下の流れが一番おすすめです。
「Sylpheed」をオフラインにする
移行後にメールが送受信されてしまうことがないよう、一旦オフラインに切り替えます。
「Sylpheed」の画面から「ファイル」→「オフラインにする」を順に選択します。
ソフトを立ち上げなおすと自動でオンラインになってしまいますから1アカウント分の移行が完了するまでは一気に行います
「Thunderbird」へメールアカウント追加
私が確認した限りでは、残念ながらSylpheedにはメールアカウント設定のエクスポート機能がないようですので、Thunderbirdで個別に設定を追加することとなります。
Thunderbirdでのメールアカウント追加は以下のようにして行います
画面右上の「三」をクリックし、「+新規作成」をクリックします。
出てきた一覧の中から「既存のメールアカウント..」をクリックします。
下のような画面が出ますので、フォームの中へ必要事項を入力し、「続ける」をクリックします。
一般的なサーバーでは自動で設定情報を読み込んで以下のように情報を取得してくれますから、「完了」をクリックします。
※メールサーバーによっては以下のような画面が表示されますので、「セキュリティ例外」を承認をクリックします。
パスワードに問題がなければアカウントの追加は完了です。
※セキュリティ例外を承認して追加したアカウントは、何かの設定(メールサーバー名、ポート、暗号化の方法など)が間違っている場合が多いので、設定が正しいかを後から確認することをおすすめします。
※何か問題がある場合には「手動設定」をクリックして、設定内容を確認して試してください。
※パスワードは初回受信/送信時に尋ねられることがありますので、どこかに保存しておくようにしておきましょう
アカウントの追加が終わると、メイン画面の左側にそのアカウント用のメニューが追加されます。
一度送受信してすべてのメールを受信しましょう。
※Sylpheedの設定によってはサーバーにメールデータが残っていて、とんでもない数のメールが受信されることがありますので、一旦すべて受信して不要なメールは削除しておいてください。
ここで確実にメールの受信と送信ができるかを確実にチェックするようにしてください。
「Sylpheed」からメールデータをエクスポート
Sylpheedの画面を開き、「ファイル」→「メールデータをエクスポート」をクリックします。
※複数のフォルダに分けている場合は目的のフォルダを選択した上で上記の作業をしてください
下のような画面が出てきますので、エクスポート先の右にある「選択...」をクリックしてデスクトップなどを指定、適当なファイル名を付けて「保存」します。
複数のアカウント宛のメールを同じフォルダに保存している場合にはやり方を工夫する必要があるかと思います(例えばThunderbirdへのアカウント追加とSylpheedのアカウント削除をすべて行ってからメールデータの移行をする・・など)。
「Thunderbird」へメールデータをインポート
Thunderbirdの画面へ戻り、目的のアカウント上で右クリック→「ImportExportTools NG」→「mboxファイルをインポート」をクリックします。
次の画面でOKをクリック後、先ほどエクスポートしたファイルを選択してインポートします。
インポートが終わるとそのアカウントの受信ボックス下にインポートしたメールが保存されたフォルダが追加されます。このフォルダは過去のメールになりますから、受信ボックスへ移動してもいいですし、アーカイブ(履歴)としてそのままにしておいても構いませんので使い勝手に応じて処置をしてください。
「Sylpheed」のメールアカウントを削除
再度Sylpheedの画面へ戻り、「設定」→「アカウントの編集」をクリックします。
アカウントの一覧が表示されますので、移行が終わったアカウントの左にあるマークをクリックして選択状態にした後、右にある「削除」をクリックします。
これでSylpheedのオフラインを解除しても、メールは受信されなくなります(当たり前ですが・・・)
ここまでが、1つのメールアカウントの移行の流れになります。複数のアカウントがある場合はこの作業を繰り返します。
アドレス帳の移行方法
前述したように、私はSylpheedをほぼ受信専用で使用していたため、アドレス帳の移行は行いませんでしたので、以下は大まかなアドレス帳の移行手順となります。
まずはSylpheed側で「ツール」→「アドレス帳」をクリックし、個人用アドレス帳または共有アドレス帳をクリックします。
目的のアドレス帳(アドレス一覧)が出てきたら、「ツール」→「CSVファイルにエクスポート」をクリックし、デスクトップなどへ保存します。
次にThunderbirdの画面を開き、「アドレス帳」を開きます。
「ツール」→「インポート」をクリックし、出てきた画面で「アドレス帳」を選択し「次へ」をクリックします。
一番下の「テキストファイル」を選択し、「次へ」をクリック、先ほど保存したアドレス帳ファイルを選択してインポートすれば完了です。
あとがき
いかがでしたか?メールアカウントの移行が手動となるため少々手間はかかりますが、SylpheedからThunderbirdへ過去のメールを含めて移動することは可能ですので、今回の問題でメーラー(メールソフト)を変えるのもいいかもしれません。
冒頭に書きましたが、Firefoxという有名なウェブブラウザを提供しているところが作っているメールソフトですから、開発が放棄される可能性は圧倒的にSylpheedよりも低いと思います。
最終的にすべての移行が完了したらSylpheedをアンインストールすればすべて完了です。