「Redirection」はURL構造(パーマリンク構造やスラグ)を変更した時やサイトを切り分けて運用するようになった場合などに自動転送(301転送)させることができるプラグインです。
内部でのパーマリンク変更では、デフォルト(初期設定)からの変更だとWordPress内部で行ってくれるようですが、一度設定したカスタムパーマリンクを再度変更したり個別コンテンツのスラグを変更したりすると、何もしてくれません。
サイトの投稿や固定ページが検索経由で閲覧してもらえる順序は
- 投稿や固定ページを作成する
- Googleなどにインデックスされる
- 検索サイトでヒットする
- 訪問してもらえる
ということはみなさんご存じだと思いますが、URL構造(パーマリンク)を変更してしまうと2で行われたインデックス(検索されるための登録情報)が無効になってしまい、新しくURL構造(パーマリンク)を変更したページが再度インデックスされるまでの間は検索経由でのアクセスが見込めないということになってしまいます。
これを気にしないという方には意味のない行為なのですが、せっかく登録された投稿や固定ページをアクセス不可にしてしまうのはもったいないですよね??
この問題を解決することができるのが「Redirection」プラグインです。
また、サイトのボリウムが増えて「このカテゴリーの情報を別のサイトへ分けよう」と思ったときにも役立ちます。せっかくサイトを増やしたので、一からアクセスを集めるよりも元のサイトから転送をかけた方がサイトのインデックスが早まってサイトを分けた効果が発揮できるわけです。
この要望を解決することができるのが「Redirection」プラグインです。
Redirectionプラグインが必要かどうかを判断する
WordPressはURLにアクセスがあった場合、アクセスされたスラグからIDを見て正しいスラグへ変更して表示するという機能が備わっています。パーマリンク変更やカスタムポストタイプへの投稿移動、固定ページの階層化などほとんどの場合は転送されますので、本当にこのプラグインが必要なのかどうかをチェックすることをおすすめします。
例えば
「http://www.○○.co.jp/123」
だったURLを
「http://www.○○.co.jp/5678」
へ変更した場合にリダイレクトが必要かを判断するには
旧アドレスであるhttp://www.○○.co.jp/123へアクセスしてページが表示されるか(URLは新アドレスに自動で入れ替わります)を見れば確認できます。必要ないのにリダイレクトを行う必要はありません。
Redirectionプラグインでできること
通常サイトのあるページをあるページに転送(リダイレクト)する場合には.htaccessなどに転送情報を書いたりする必要があり、慣れていないと失敗したり煩わしかったりすることが多いのですが、この転送設定をWordPressの管理画面から行うことができるのがこのプラグインの良いところです。自分で1つ1つ転送の設定をしていくので間違いなくリダイレクトの設定ができます。
Redirectionプラグインは
・同一サイト内での転送
・外部サイトへの転送
の両方を設定することができます。
Redirectionプラグインの使い方
プラグインの導入自体はプラグインの管理画面から新規で「Redirection」と検索してインストール&有効化するだけなので割愛します。
実際の使い方としては
WordPressの管理画面のサイドバーの「ツール」→「Redirection」を開きます。「設定」でなく「ツール」というのがちょっと迷うところでしょうか?
変更の登録は「Redirects」タブの中で行います。
読んで字のごとく、
Source URL:に元々のURLを、Target URL:に転送先のURLを入力して更新するだけです。
リダイレクトを処理する場所に「Wordpres」と「.htaccess」の選択肢がありますが、WordPress内で処理するのか、サイトの.htaccessに直接書き込むのかを選べるようになっています。アクセスの特に多い記事やページをリダイレクトさせる場合は.htaccessに書き込んだ方がサーバー負担を軽減できますが、通常はWordPressのまま内部処理をさせればOKです。
URLがhttp://○○.co.jp/××の場合
同一のサイト内でリダイレクトをかける場合には赤字部分だけを入力します。転送元、転送先とも最初のスラッシュ(/)を入力しないとエラーになりますので注意してください。
別のサイトへリダイレクトする場合には双方にすべてのURLを入力します。訪問者に何も通知なくリダイレクトされてしまうので、デザインが極端に違ったりまったくジャンルの違うサイトへリダイレクトすることで訪問者に不信感を与えることになるかも知れないので注意が必要です。
もう少し便利に使うには、グループ登録をしておいてリダイレクトの設定を分類しておくと確認作業が楽になります。
Redirectionプラグインですべてを設定しなくても
何百もある投稿や固定ページを1つ1つやっていくのには・・・と途方に暮れる方もいると思いますが、何も全部やる必要はありません。
作っている記事や固定ページの中で、アクセスのあるもの(サイトのアクセスに影響の強いもの)からやっていけばいいのです。残念ながらほとんどアクセスのない記事や固定ページはたとえパーマリンクを変更してURLが変わってしまったとしても結局アクセスがないのですからじっくり再インデックスされるのを待てばいいのです。
逆にSEOではサイトの内容とサイトURLに関連性があると検索上位になりやすいという情報もありますから、英語でかつ見やすいパーマリンクにすることで思いもよらぬアクセスアップが狙えるかもしれません。
私の場合は、パーマリンク構造が現在投稿名になっています。これはいろいろ調べた結果一番いいパーマリンク構造という情報からだったのですが、日本語のタイトルが英語化されてしまい、とても長いURLになっているのを変更もせずにどんどん投稿してしまいました。投稿のときにパーマリンク(スラッグ)を変更して投稿していればよかったのですが後の祭り・・・で、このプラグインを使ってリダイレクトすることにしたのです。
アクセスアップが図れるかどうかは解りませんが、短くてわかりやすいURLのほうがアドレスバーに表示されるときの見栄えもいいですし、よそのサイトからリンクをしてもらえる機会があったときも長いURLで迷惑にならないと思うので、徐々に変更していこうと思ってます。
定期的にリダイレクトのメンテナンスしましょう
「Redirection」は一度設定すると確実にリダイレクトしてくれるプラグインですが知らず知らずのうちにどんどん増えてしまうこともあります。動作的には訪ね当たらないURLへのアクセスがあった場合にリダイレクトのリストがあるかどうかを判断して、なければ404エラーとして返してという動きをするので、判断させるレコードの量は少ないほどレスポンスが良く、サーバーへの負荷も少なくなると思いますので、時折一覧を確認して1か月以上もリダイレクトがないものについては動作を停止するか削除していくといいと思います。
301リダイレクトを行う際の注意点
ここまではリダイレクトとこのプラグインの便利な点について紹介してきましたが、使用に際して少し考えてみた方がいい点について紹介します。
自動で新スラグ(URL)へ転送してくれるリダイレクト機能を使うのは一見すると便利にも見えるのですが、長い目で見ればSEO的には不利なのかもしれません。というのは、リダイレクトする古いURLと変更した新しいURLの両方で同じコンテンツができてしまうことで、検索エンジンクローラーが巡回してインデックス登録する際に「重複コンテンツ」として扱われる可能性がないとは言えないからです。
目先のアクセスが減るリスクを回避することに注視するあまり、実は後々のアクセスダウンを招いているかもしれないのです。こればかりは検索エンジンのアルゴリズムによってしまうので「これが正しい」ということはないのですが、出来れば、
- リダイレクトを使ない(再度インデックスされるまで待つ)
- リダイレクトした記事は何等かの更新をして、出来る限り「重複コンテンツ」として扱われない工夫をする
などの措置をとった方がいいかもしれません。サイト立ち上げ初期の頃のようにGoogleなどの検索エンジンへ登録(インデックス)されるまでに数日~1週間かかるということはある程度熟成したサイトではあまりないことで、少なくとも翌日辺りには巡回されて正しいURLとして認識されるようになりますから、前述した通り目先にとらわれると永遠にこのプラグインを外せなくなる可能性もあります。
また、リダイレクトしないと被リンクされている記事がリンク切れとなってしまうため、SEOに不利になる可能性もありますが、その記事がどれだけ被リンクによって上位表示に影響を受けているのかも不明なので、あまり気にする必要はないかもしれません。外部ツール等でリンク元をコツコツ調べる根気があるのであれば、リンク元サイトのコメント欄などにURLが変更された旨を伝えればいいのではないかと思います。
プラグイン導入前に1つ確認してほしいのは本当にリダイレクトが必要かということです。未確認ですが、WordPressはバージョンが上がるにつれていろいろなケースに対応できるようになってきており、どこかのバージョンからURLをページに直接変換して表示するのではなく、アクセスがあると投稿IDを元に正しいページを表示するようになっているようで、パーマリンク変更(スラグ変更)をした場合でもきちんと古いURLでも新しいURLでも正しいページが表示される(つまり、投稿IDが基礎でURLがぶら下がっている?)ので、一度必要かどうかテストした方がいいと思います。
2016年9月15日追記
8月末日段階である程度このプラグインの効果でリダイレクトされたページが減っており、ジャンルによってサイトをを分けた、外部へのリダイレクトがほとんどになったので、思い切ってこのプラグインを停止しました。アクセス数に何等かの悪影響が出ることは承知の上だったのですが、特に影響はありませんでした。このプラグインを使ってリダイレクトしているページがどの程度アクセスがあるかによりますが、やはりよく考えて使用した方がいいと実感しました。