いきなりですが、WordPressの【カスタム投稿タイプ】【カスタムタクソノミー】ってご存じですか?WordPressには名前に【カスタム】とつくものが3つあって、今回紹介する2つと【カスタムフィールド】っていうのがあります。【カスタム】という名前から想像される通り、WordPressに何かを独自に追加できるようにする機能です。
ざっくりと今回紹介する【カスタム投稿タイプ】【カスタムタクソノミー】を使うと何ができるのかを説明するとカスタム投稿タイプは「投稿」「固定ページ」とは別の記事の集まりが作れる、カスタムタクソノミーは「カテゴリー」「タグ」とは別の分類が作れるようになります。あんまりざっくり過ぎてまだピンと来ない方も見えると思いますので、以降ではそれぞれについて例示しながら使い道を紹介することと、実際にどうやって設定して使うのかを紹介していきます。
「カスタム投稿タイプ」の使い道、使用してできること
先ほどさらっと説明したカスタム投稿タイプは「投稿」「固定ページ」とは別の記事の集まりが作れるというのをもう少し詳しく説明していきます。
コンテンツ(投稿)の管理がしやすくなる
「投稿」や「固定ページ」は管理画面の左側のメニューに常に表示されていて、開くと「〇〇一覧」「新規追加」といった副項目があり、そこから投稿したり、一覧から編集したりできるようになっていますね。カスタム投稿タイプを追加すると、これと同じで違う名前のものが自由にいくつでも作れるようになるんです。そうすると
- 【投稿】は日記や雑記として投稿するようにする
- 【園芸】という投稿タイプを追加して園芸にまつわる情報はここでまとめる
- 【ゲーム】という投稿タイプを追加してゲームにまつわる情報はここでまとめる
など、管理する上でパッと分類がわかるようになって管理しやすくなるんです。1つのWordPressサイトで複数のジャンルの情報を投稿するような場合には【投稿】だけだとごちゃごちゃしてきて、過去のものを探すのが大変だったりするので、こうして分けておけば楽ですよね?
またサイト内にさまざまな一覧を作成する場合にも、こうして分けておくことで「〇〇」というカスタム投稿タイプ(ジャンル)の投稿を新しい順に何件か表示するということもできるので、今までカテゴリーで無理やり分けてやりくりしてきたことが一気に解決できるようになります。
URLの構造が変わって検索エンジンからも判別しやすくなる
【カスタム投稿タイプ】を使用するメリットは管理上の利便性だけではありません。特殊な使用をしない限り、【カスタム投稿タイプ】を設定して追加した投稿は通常の【投稿】とはURLの構造が変わります。
通常の【投稿】で追加した投稿は
サイトのURL/パーマリンク設定で設定した文字列
でページのアドレスが表記されます。比べてカスタム投稿タイプで作成した投稿は
サイトのURL/カスタム投稿タイプ名(スラグ)/パーマリンク設定で設定した文字列
と間にカスタム投稿タイプの階層が追加されます。こうなることで、そのジャンルのコンテンツの集まりであることを明示できるようになるので、特に検索エンジンがサイトの構造を判別しやすくなります。
これが確実に検索エンジンの認識対策(いわゆるSEO対策)になるかどうかは不明ですし、効果があるのかも不明ですが、少なくともいろいろなジャンルのコンテンツ(投稿)が同じ階層でごちゃごちゃになっているよりはきちんと分類されていると判断され、その階層全体として評価されるようになりますから、プラス要素にはなろうかと思われます。
その他【カスタム投稿タイプ】でできること
【カスタム投稿タイプ】ではさらにいろいろなことができるようになります。代表的な設定について列記しておきます。
- カスタム投稿タイプ独自のスタイル(色や見た目)の設定ができるようになる
- サイト内検索でヒットさせたり除外したりできる
- カスタム投稿タイプごとの投稿一覧を表示させたり、表示させなかったりできる
- 【投稿】で使う【タグ】【カテゴリー】を使ったり使わなかったりの設定ができる
- 管理画面上に表示される文字列を独自のものにできる
細かいことを言い出すとキリがないのでこの程度にしておきますが、いろいろなことが【投稿】【固定ページ】と独立して行えるようになります。
サイト作成の一例としてはチェーン展開するお店などで、会社全体のことは【投稿】【固定ページ】で紹介、それぞれの店のことはそれぞれの店用のカスタム投稿タイプでといった使い方ができます。
余談ではありますが、WordPressには【カスタム投稿タイプ】と同じように構造を持たせる方法としてマルチサイトという機能があるのですが、【カスタム投稿タイプ】と比べると設定に少し知識が必要だったり、主サイトと子サイトの管理画面がそれぞれ存在するので運営がちょっと面倒ですから、1つの管理画面上で比較的簡単に分けられる【カスタム投稿タイプ】の方が便利だと思います。
【カスタムタクソノミー】の使い道、使用してできること
ここまで読んでいただいて【カスタム投稿タイプ】の仕組みについては理解いただけたと思います。そこでもう1つのカスタム〇〇である【カスタムタクソノミー】について簡単に紹介しておきます。
【カスタム投稿タイプ】は【投稿】【固定ページ】とは違う投稿の集まりを作る機能でしたね?一方ここで紹介する【カスタムタクソノミー】は【タグ】【カテゴリー】とは違う分類の集まりが作れる機能なんです。作成した【カスタムタクソノミー】でできることは【タグ】【カテゴリー】と同じですから、どんなものなのかは理解できるでしょう。
そこでここでは、【カスタムタクソノミー】について調べていくと出てくる「タクソノミー」とか「ターム」という専門用語について簡単に解説しておきます。
【カテゴリー】も【タグ】もすべて【タクソノミー】の1つになります。そこに独自の分類のまとまりを追加するので【カスタムタクソノミー】と呼ぶだけです。そして【カテゴリー】は階層構造(「園芸」というカテゴリーの中に「草花」「樹木」などという子カテゴリーが作れる)があり、【タグ】には階層構造がないというのが大きな違いになります。
【カスタムタクソノミー】はこうした階層構造を持たせる(カテゴリーと同じ振る舞いをさせる)ことも、持たせない(タグと同じ振る舞いをさせる)こともできますから、【カスタムタクソノミー】を追加することでいろいろな分類を行うことができるようになるのです。
そしてもう1つ似た単語として出てくるのが「ターム」。「ターム」はそれぞれのタクソノミーの中にある選択肢のこと。先ほどの「園芸」「草花」「樹木」といったものがそれぞれ「ターム」になります。分類を扱う上で【タクソノミー】と「ターム」という単語がいろいろな場所で登場しますから、この違いは覚えておいて損はないと思います。
※中にはそれらの紹介記事などで間違って使われていることもあります(笑)
以上が【カスタムタクソノミー】についての解説になります。【カスタム投稿タイプ】が理解できれば簡単だと思います。

【カスタム投稿タイプ】【カスタムタクソノミー】を作成・管理するにはプラグインを使うのが一番簡単かつ効率的
【カスタム投稿タイプ】や【カスタムタクソノミー】は基本的に決められたコードをテーマのfunctions.phpへ追記したり変更したりすることで追加・管理できます。
が、初心者の方にとっては「テーマ?functions.php?」という方も多いでしょう。また、functions.phpに書かれている内容はそのサイトがどう動くのかを支持する大切なファイルですので、誤って編集するとサイトが表示されなくなったりしますからできれば手を付けたくないところでもあります。さらに言うと、functions.phpへ追記した内容はそのテーマを使っている場合のみに指示するものですから、テーマを変更したら追記した内容は適用されなくなりますから思わぬトラブルのもとにもなりますから注意が必要です。
それでも自力で追加・管理したいという方は公式コーデックなどをご覧になり、作業を進めてください。
そんな怖い思いをして追加・管理しなくても、UI(独自画面上で必要な内容を入力したり、選択したりする)上でできるようになる優れたプラグインがあるんです。私も長いことWordPressサイトの運営をしてますし、もちろん【カスタム投稿タイプ】も使っていますし、functions.phpへの追記などにも慣れていますが、このプラグインを使い続けています。本当に楽ですから・・。
私のおすすめは「Custom Post Type UI」というプラグインです。実際にどうやって作成・管理するのかはリンク先の紹介記事をご覧いただけばお分かりになるかと思います。ちなみに設定項目にスクリーンショットを公式ページから引用表示すると

・・・・すごい数の設定項目、目が回りそうですね(笑)。そう、前述したテーマのfunctions.phpへ独自に追記して行うにはこの設定項目にある内容を記述する必要があるってことです。それが画面上で設定・変更できるなんて・・・まさに夢のようなプラグインだと思いますからぜひ利用してください(無料プラグインですし、きちんと更新されていますし、日本語化もされています)。
プラグインを使って簡単にカスタム投稿タイプを作る方法
カスタム投稿タイプを作るには、
- 「別に記事の集まりを作りますよ」というコードを作る
- 今使っているテーマで表示したり管理したりするようにコードを埋め込む
というのがざっくりした設定です。この仕組みが分ればいくらでもカスタム投稿タイプを作ることができます。
とはいえ、一からカスタム投稿タイプを作るのはコード知識などが必要になりますのでやっぱり敷居が高い、ということで一番簡単にWordPressへカスタム投稿(別に記事の集まりがありますよ)用のコードを作成できるプラグインを使用します。
使用するのは「Custom Post Type UI」というプラグインです。設定方法は
カスタム投稿タイプやカスタムタクソノミー(分類)を簡単に作るプラグイン「Custom Post Type UI」
を参照ください。日本語化されていますので困ることなくすぐに使えます。
そして、今使っているテーマで使用するためにコードを埋め込むプラグインとして「Code Snippets」を使います。使い方は
テーマのfunctions.phpへ挿入するコードを管理するプラグイン「Code Snippets」
を参照ください。
この2つのプラグインを使って
- 「別に記事の集まりを作りますよ」というコードを作る--「Custom Post Type UI」で作る
- 今使っているテーマで表示したり管理したりするようにコードを埋め込む--「Code Snippets」で埋め込む
ことで新しい「記事の集まり」=「カスタム投稿タイプ」の作成が完了します。
あとはそこに記事を書いていくという作業で完了です。
今までの記事をカスタム投稿タイプへ移動させる場合には以下2つのプラグインが役立ちます
通常の投稿とカスタム投稿タイプの投稿を一括相互変換をするプラグイン「Convert Post Types」
通常の投稿とカスタム投稿タイプの投稿を相互移動できるプラグイン「Post Type Switcher」
ちなみにですが、「Custom Post Type UI」でカスタム投稿タイプを作成するとき右側のオプションにある「リライト」という項目を「する」に設定すると、今までの記事をカスタム投稿タイプで作ったタイプへ変更してもきちんとリダイレクトしてくれます。分かりやすく言うと、元の記事アドレスにアクセスしてもきちんと新しいアドレスに変換して表示してくれるということですね。
ソースでは下のコード部分になります
“rewrite” => array( “slug” => “cms”, “with_front” => true ),
ただこの処理には限界があって、サイトへのリンク(内部・外部とも)を通常のaタグを使う
<a href=""></a>
とブログカードでのリンクはできないものの、URL自体はリダイレクトしてくれるのでとりあえずリンク切れすることはないのですが、新しいバージョンのワードプレスの場合に追加された、記事のURLを書くとブログカードでのリンクを作ってくれる機能に関してはリンク切れとなってしまうので注意が必要だと思います。